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トルコの伝統家屋でいちばん目をひくのは、1階部分に対して2階以上が張り出しているところ。イスタンブルにも裏通りに入るとまだそういう建物が残っているし、最近建設された高層住宅でも同じように1階より2階以上が出っ張った造りをしているものがある。 19世紀初め頃の建築だというカイマカムラル・エヴィは、中を公開している民家のひとつで、当時の家の様子や人びとの生活様式を見ることができる。いまは国のものとなっているこの家の持ち主は、サフランボルの軍の指揮官であったそうだから、この町では比較的裕福な家だっただろう。 中に入ると、手前に家畜を飼っていた空間があり、そこだけごつごつした石が敷かれていた。2階より上の壁はレンガ造りだが1階だけは石造りで頑丈に出来ている。木組みの天井は高くて開放感がある。階段を上がる前に靴を脱ぐ。もともとトルコは日本と同じように靴を脱ぐ暮らしをしていたと思うとまた親近感がわく。受付でビニールを渡されたので、脱いだ靴を入れて持ち歩くための袋かと思ったら、違った。それは靴カバーで、靴をビニールで覆って、履いたまま階段を上がれというのだった。変なの。 部屋のつくりで興味深いことは、おもに男性が客人を迎える公的な空間(セラムルック)と、女性が中心となる私的な空間(ハレムルック)が仕切られていること。客間からは直接、ハレムに行くことができないようになっていた。それから、各部屋に造り付けになっている木製のクローゼットや棚の類。観音開きの木の扉の中の一部は、入浴スペースになっていた。使わないときはその上に板を置いて、寝具を収納したりもするというので、多目的な押し入れという感じ。 サフランボルにあるホテルの多くがこうした民家を利用したものだ。私が泊まったところも、主人の生家を改造したもので、昔は大家族でそこで生活していたという。客室にはそれぞれに昔ながらの木製のクローゼットや暖炉、独特の木枠の窓があって素敵だった。トイレやシャワーもクローゼットを改造したものなので当然狭いが、それもこの家の雰囲気を味わうには良かった。 サフランボルの町は、谷の傾斜の真ん中あたりに中心となる広場がある感じ。家々のあいだを適当にただ歩くと、白い漆喰が塗られたきれいな家もあれば、日干しレンガが崩れかかった廃屋も見つけられる。どこでもそうだが、伝統的町並を保存していくのは大変なことだ。何より、金がかかるから、町全体で保存していくためにはそれ相応の補助がなくてはやっていけない。 それにしても、なんとのんびりした空気が流れていることか。日がないちにち家の前に座ってる老人たち、路端の木からアーモンドの実を摘む女性、赤ちゃんをあやすお母さん、サッカーボールで遊ぶ子どもたち、小鳥のさえずり、店の前にたたずむ猫、猫、猫。木々にはいちじくや桃の実がなっていいにおい。「メルハバ〜」(こんにちは) ってあいさつを交わしながら人びととすれ違い、坂を上ってたどり着いた、墓地のある丘からオレンジ色の瓦屋根の家並を見下ろす。それから下っていって今度は町外れの谷川にかかる橋まで来る。この川はひっそり町のあいだを流れてきたのだ。そこから町を眺めると、峡谷にあるこの町の地形をなぞれた気がした。
by achici
| 2007-10-14 03:24
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