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早よ帰りたいなあと思っていると、4時になってギズランが帰って来た。さよならを言うと、残念そうな顔をして「また来てね」と言う。ミナと連れ立って戸口へ出たところへ、背後でギズランが父親に怒鳴ってる声がした。 帰り道で、ミナが来る途中からしきりに私に言っていたことがやっと理解できた。携帯電話がほしい、日本に帰ったら送ってくれ、というのだ。それで、私を家に招いた目的がわかってきた。だが、彼女には携帯電話のしくみが理解できていないようだ。それはムリだと答えた。途中、知り合いの家になぜか寄ったり、スークの中の民族衣装の店に入ったり(試着などさせられたが私に買う気は毛頭ない)して、見覚えのある通りに到着。 今日はありがとうと言うと、彼女は笑顔で「お金をちょうだい」と言った。ああ、結局やっぱりカネの話になるのだな、こっちもタダで歓待されるなんて調子いいことあるはずがない。いくらほしいのか尋ねると「ドゥ・ミル」と。ドゥ・ミルって、えーとえーと2000DH、ということは約2万6000円、はあ!? びっくりして聞き返す私に「ううん、いいのいいの。また明日、家でね」と言って、ミナはそそくさと去って行った。…何?ただ言ってみただけ?—彼女の真意をつかめないまま、残された私は人混みの中を立ちつくしていた。 もちろん、お礼をして当然だと思う。そうでないと、昼食をごちそうになり何の見返りも与えなかった私は逆に、裕福でもない彼らにたかったようではないか。しかし、それに対して即お金で応じることに何か複雑な思いがするのだ。 日本人はふつう、他人に対してお金のことをはっきり大っぴらに口にすることを避ける傾向がある。サービスを商売にしてるのではないかぎり、ホスピタリティを即お金に換算することには戸惑いがある。不思議なことに、今まで受けたもてなしと楽しかった気分まで、味気ないものに変わってしまわないだろうか。 また明日と言われても、あの迷路の奥の家まで一人で行けるはずがないし、彼らとはこのまま二度と会うことはないだろう。大人たちはもてなしの見返りを期待しただろうけど、女の子たちには他意はないはず。私にできるのは、彼女らの写真とささやかな贈り物を送ってあげることぐらいだ。 帰り道、そんなことをもやもや考えながら王宮あたりを通っていると、学校帰りらしい中学生ぐらいの女の子4人組が、お喋りしてけらけら笑いながら私の前を歩いている。箸が転げても可笑しい年頃なのだろうなあ、と思って見ていると、その中の一人が話しかけてきた。 歩きながら、日本人?名前は?など一通りの会話をする。その間にも彼女ら4人、アラビア語で何か言い合いながら笑っている。他の3人と少し離れたとき、最初に話しかけてきた子が、ふと私に「お金ちょうだい」と言った。…またかよ。私、一気に表情失い「なんで?」と言うと、くすくす笑って答えない。そんなやりとりを2、3回繰り返した後、少女たちは何事もなかったように、笑いながら私の前方をどんどん離れていった。 なんでそうなるのだろうか。まさか本気でせびってるわけでもないだろうが、冗談半分にもふざけながらも、旅の外人に対して子どもでもそんなことを言うとは。アラブの商売の世界にいる大人ならまだしも、他人に恵んでもらわなければ生きられない境遇の子どもならまだしも、ふつうの生活して学校にも通える子どもじゃないか。いくらモロッコ人が日本人を好きだと言ったって、カネのことばかり言うモロッコ人を、日本人は好きにならないよ。 富める者は貧しい者に与えるのが当然、貧しい者は富める者から与えられて当然という考え方、それがこの国の文化にあることを頭では理解しているし、彼らの考え方は尊重するけれど、私じしんの身をもっては受け入れられない。異文化のなかでの旅行者の身の置き方はそんなものではないか。 3日間のフェズ滞在を終えてホテルを出るとき、代金に加えて、サービス料と称して追加料金を要求された。カードで払おうとすると、サービス料だけ現金で払えないかと言う。この段階でなぜか騙されてることに気づかない私。そうなのか、と深く考えずに払ってしまい、フェズからメクネスに向かう列車の中で考え直してみて、おかしいやん!なんで気づかへんねん!と、ムカムカ腹が立ってきた。 もちろん、やすやすと騙されてる自分に対して。こんなだからいいカモにされるのだ、情けない情けない。
by achici
| 2006-04-27 00:34
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