カテゴリ
タグ
まち(33)
museum(25) アート(25) スペイン(25) 歴史(20) 食(14) チュニジア(13) 読書(12) 映画(12) トルコ(11) イタリア(11) モロッコ(10) 宗教(10) ポルトガル(10) 音楽(7) 京都(6) 沖縄(6) 台湾(5) café(5) 韓国(4) 以前の記事
2009年 02月 2009年 01月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 01月 2007年 11月 2007年 10月 more... 最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
スークで水を買おうとして、とある商店に行くと、店番が5歳ぐらいの男の子。ショーケースのペットボトルを指差して伝えようとしても通じない。すると私がアラビア語を喋れないとみた隣のおじさんが、代わりに注文してくれた。
「この子はまだ学校に行ってないから、フランス語がわからないからね。きみは日本人? そうか、ようこそモロッコへ。私は日本が大好きだ。日本人は親切で正直で良い人たちだ」と英語で言うおじさん。実際、道中に何人ものひとに同じようなことを言われ、助けてもらった。 メディナをあてもなくうろうろしていると、「気をつけて」という声。ぼけっと歩いてて後ろから馬が来ているのに気づかなかった私に、ジュラバを着た30代後半ぐらいの女性が教えてくれたのだった。お礼を言うと、満面の笑みと片言のフランス語で私に何か言いつづけている。どうも私を気に入ったということを言いたいらしい。そして、私をどこかへ連れて行こうとしている。何か売りつけようと思ってるのだろうか、観光客を連れ回すにしてはフランス語も下手だし、生活感あふれた身なりをしている。いぶかりながらも彼女について行ってみることにした。 彼女はミナと名乗った。橋を渡り、薄暗い上り階段と坂が細く曲がりくねった道を行く。所々に小さな工房やパン焼き場がある以外は店もない。「さあ、ここよ」と言ってミナが私に入るよう促したところは、彼女の家だった。白い漆喰とタイルで覆われた壁、正方形のパティオを居間や寝室などの部屋が取り囲んでいる。パティオの真上からは明るい陽の光が射し込んでいる。小さいけれど、まさに典型的なメディナの家だ。 家には彼女のお母さんと、彼女のおねえさんらしきひとと、姪と思われる女の子がいた(母以外はいまいち関係がわからない)。お母さんはパティオにしゃがんでタマネギを切っている。ギズランという名の12歳の姪っ子は宿題をしているところだった。ミナがお茶を淹れてくれる。モロッコのミント茶、砂糖のたっぷり入った半発酵の緑茶をミントの葉を入れたグラスに注いで飲む。 そこへギズランの友だちがやって来た。この国では小学1年生からフランス語を学ぶので、二人ともフランス語がうまい。あれこれ尋ねてくるが、私は大学の第二外国語で習ったフランス語の遠い記憶を、必死で絞り出して答えるのがやっとだ。話をしたいけれど、言葉が通じずもどかしい。 ギズランがDVDをかける。結婚式のパーティでアラブ音楽に合わせて人びとが踊り狂っているビデオ。それに合わせてギズランも踊りだす。すごい。子どもながら板についた腰の振り! 踊ったりアドレス交換したりと楽しく過ごしているうちに、ギズランは午後の授業のため学校に行く時間に。「4時に帰ってくるからね」と言って出て行き、入れ替わりに彼女の父親が仕事から帰って来た。中学校の数学教師だとか。 私を連れて来た当のミナはその間、パティオを掃除したり昼食の用意をしたりでほとんど私の相手をしない。やがて昼食の時間になり、私もごちそうになった。献立は、ジャガイモをスパイスで煮込んだの、アジみたいな魚のフライ、キュウリのサラダ。素朴な味でおいしかった。魚のフライはうちの実家で食べるのとよく似ていた。よく揚がってるので、いつものように骨まで食べて皆を驚嘆させてしまった。食事のときもミナと彼女のおねえさん(ギズランの母親?)は一緒に食卓を囲まない。彼女は食べないのかと訊くとあとで食べるのだと言って笑う。 仕方ないので、食後、お茶を飲みながら、父親とつたない英語とフランス語で話をしたり、傍らにあった子どもの教科書を眺めたりしていると、「本が見たいか、もっとあるよ」と言って彼は、2階からある本を持ってきた。ニヤニヤしながら見せたその本は「カップルの歴史」という題の、性科学の図鑑みたいな本だった。親父、ページをぱらぱらめくりながら、裸の男女の写真を嬉しそうに指差してこっちを見る。対応のしようがない。エロネタが図鑑って…、そんなに楽しいか中学教師よ。 [(2) へつづく]
by achici
| 2006-04-25 22:12
| 旅
|
ファン申請 |
||