カテゴリ
タグ
まち(33)
museum(25) アート(25) スペイン(25) 歴史(20) 食(14) チュニジア(13) 読書(12) 映画(12) トルコ(11) イタリア(11) モロッコ(10) 宗教(10) ポルトガル(10) 音楽(7) 京都(6) 沖縄(6) 台湾(5) café(5) 韓国(4) 以前の記事
2009年 02月 2009年 01月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 01月 2007年 11月 2007年 10月 more... 最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
マラケシュからカサブランカに戻って1泊。商人宿みたいな安ホテルでは、踊り場に設けられた空間で男たちがお祈りをしている。昼食をとった食堂、表のテーブルでイカ、エビ、魚のフライを食べる。足元に2、3匹の猫がいて、イカとエビのときは見向きもしなかったのに、魚にとりかかった途端、こちらを振り向いて近寄ってきた。
そして、テーブルを指でとんとんと叩く人があり、見上げると顎に独特のタトゥーを入れたベルベルのおばあさんが、掌を差し出している。客引きの店員がそれを追っ払う。猫も追っ払う。 物乞いに会うと、まるで自分が試されているような気になる。こうして旅行に来てることじたい、その人が持てる者であることは疑いないから。それでもビタ一文他人にやるまいというのはどういうわけか。私はイスラム教徒でないから、彼らの行である喜捨をする必要はないけれども、それが当然の場所にいて、自分は浮遊する旅人だからと存在を消し去ったふりをして通り過ぎてゆく。自分が施しをしないことについて、自分の中でいつもあれこれ言い訳を考えている。偽善的な、小心者だなあと思う。 カサブランカは商業都市だけあって、ネクタイを締めスーツを着た人を見かける。他の町では見なかったその姿が妙に新鮮に感じる。物乞いも多いが、靴磨きも多い。この日、3回も靴磨きに声かけられた。たしかに私の靴、この1か月半の旅でずいぶんくたびれてみすぼらしい。 旧メディナのスークを少し散策する。海辺だけあって魚の露店が目をひくが、それ以外にめぼしいものはなく、革もののセンスはマラケシュで見たものほど良くない。大通りにあるフランス風の喫茶店「サロン・ド・テ」で最後のミント茶を飲んだけれど味が薄かった。 外では、若い女性が路上の狭いスペースに縦列駐車を試みている。それを一人のビジネスマンと駐車を管理する男が手伝っている。その様子をぼんやり眺めながら、モロッコでの10日間、とりわけマラケシュを思い出していた。 マラケシュ、あの騒がしくて怪しげなジャマ・エル・フナのあるわりには、人はいたって穏やかで、全体の雰囲気ものんびりしたものだった。あそこで毎日なにもしないで何週間も過ごしてるスペイン人がいたけど、異邦人がおおいに、のんびりリラックスするには最高の場所だと思う。 もうすでに、ヨーロッパに近づいている感じ。カサブランカのショッピング街は、私も大勢の往来の中に溶け込める雰囲気。スペインまでそうだったように、また放っておかれる存在に戻りつつあるのだった。
by achici
| 2006-05-14 21:29
| 旅
|
ファン申請 |
||